近くの医院へ行った時のことです。そこには上に掲げた水槽がおいてあって
金魚やら、魚たちが優雅に泳いでいました。
年のころ3歳くらいの女の子が、水槽の魚たちにしきりと声をかけています。
「おさかなさんかわいい!」と。
そこに用を済ませたお母さんが「さあ、帰るわよ」
と女の子を促しています。
すると女の子、また「お魚さんかわいい!」
お母さん「帰るわよ。」
女の子「帰らない」「お魚さんかわいい!」
お母さん「帰るわよ。お菓子買ってあげるから」
女の子「いらない。お魚さんかわいい!」
女の子は何度「かわいい!」を連発したことだったでしょうか。
「かわいい」という言葉は魔法の言葉のようです。その言葉を言えばお母さんも
かわいいと思って、もっとその場にいさせてくれるに違いないとでもいうかのように
「かわいい!」を発していました。
でもお母さんの気持ちに変化は見えません。
女の子は最後に万感の思いを込めて?「お魚さん好き!」と言いました。
「かわいい」から「好き」に気持ちがシフトしたけれども、お母さんに変化はありません。
女の子はまた最後に魚に言うかのように「お魚さん好き!」といって
しぶしぶその場を離れて、「帰る!」と言ってお母さんの後を追いました。
「あなたもかわいいわね!と声をかけたかったけれども、ただ見送るばかりでした。
わたしも娘があの時分はあのお母さんのように、待ってあげなかったなーとふと苦い昔を思い出しました。
わたしも、ずーと見ていたくなった魚さんたちでした。