友達が郷里に帰ることを決断したのは去年の秋で、
とうとう旅立ちの時を迎えてしまいました。
「花祭り」の昨日、家でランチを共にしてから
弘明寺の『護摩行』に参列し、友との別れを惜しみました。
友達は近くにいると思うだけで心強く思っていたのが
いざ、別れると思うと、言い知れぬ寂しさが襲ってきます。
中国の唐の時代は、友の旅立ちには3日、3晩酒を酌み交わし
別れを惜しんだといいます。王維の「惜別の歌」は有名です。
別れはいつも切ないものです。
2時、護摩行が始まりました。
ほら貝が高らかに、護摩行の開始を告げ、
太鼓の一打ちのドーンと鼓膜を破るかのごとき轟音が鳴り響き、
神様のお出ましを告げます。
ほら貝の音と太鼓の音が交互に地の底から沸き出てくるように
全身に響き渡ります。
御坊様が一人一人の背中を両肩、背中、そしてみぞおちを叩いて
浄化してくれます。みぞおちを叩かれた時、涙が一瞬溢れました。
終盤、護摩行の炎が激しく燃え盛る中、皆さん順番に護摩木を投げ込みます。
火の傍に進んだ時も涙と嗚咽がやってきました。
凄い浄化が行われたことに、心から感謝をささげました。
儀式が終わり、お釈迦様に甘茶をかけ、甘茶をいただきました。
友達は音楽に長けているので、ほら貝と太鼓の競演に一入感動したようでした。
友達は「これが別れではなく、区切りだから・・」と明るくいってくれて別れました。
わたしは心から友の前途を祝福しました。
弘明寺観音が良い別れの時を演出してくれました。
帰路、もう桜は散り始め、若葉の出現に備えるのでしょう!
桜はもうしばらく楽しむ余韻を残してくれています。